ハウススタジオの基礎知識からコンセプト毎の違いや選び方まで徹底解説
撮影スタジオは、ホリゾントスタジオとハウススタジオとに大きく分類することができます。ハウススタジオは、ホリゾントスタジオとは異なり、様々な撮影シーンで活用されています。
ハウススタジオというキーワードから、なんとなくイメージできる方はたくさんいらっしゃるかと思いますが、どんなものがハウススタジオにあたるのか、具体的に把握している方は、意外と少ないかもしれません。
この記事では、ハウススタジオについて知っておきたい基本から多種多様なコンセプトの紹介や選び方のポイントなどを解説していきます。
コンセプトやロケーションが多種多様にあるハウススタジオ
そもそも、ハウススタジオとはどんなスタジオなのでしょうか。
「ハウススタジオ」という言葉を検索してみると「雑誌や番組制作などの撮影のために使う建物」と紹介されていることが多いです。ホワイトパンダでは、ハウススタジオを「雑誌や番組制作のために使う建物」かつ「ホリゾントスタジオではないスタジオのこと」と定義しています。
一軒家がまるごとスタジオになっていたり、マンションの一室がスタジオになっているのが、ハウススタジオです。家具や雑貨が揃えられている場合が多く、それぞれのスタジオごとに世界観に統一感をもたせてあります。
ですので、作品の表現づくりには、大きな効果をもたらします。
統一された世界観は、コンセプトとロケーションによりスタジオごとの特徴があります。
コンセプト
ハウススタジオには、様々なコンセプトが存在しています。美術スタッフがセットを組むことなく、いろいろな世界観を表現できることこそが、ハウススタジオの最大の魅力です。
多くの場合、特定のコンセプトに沿って、ハウススタジオは作られています。
そのコンセプトは多岐にわたります。
洋風、和風、アメリカン、ヨーロピアン、地中海、アジアン、レトロ、リゾート…などなど、ハウススタジオは豊富な種類のコンセプトが存在しています。
日本の一般的な住宅、中世のヨーロッパ風、カフェを模しているものや工場や牢屋、そして廃墟など、様々なシチュエーションのスタジオがあります。
ロケーション
ハウススタジオでは、屋外スペースでの撮影を行うこともあります。そのため、ロケーションも重要な要素です。
海や湖に隣接していたり、山のふもとに位置していたり、街並みが一望できたりと、ロケーションだけでも多種多様なバリエーションがあります。
窓から見える風景で、写真の印象が変わるケースもあり、ロケーションはハウススタジオのバリエーションとして、非常に重要な要素です。
ハウススタジオは、基本的な作りに共通点の多い白ホリスタジオとは異なり、様々な世界観のスタジオが存在します。
利用するスタジオの世界観は、完成した写真に大きく影響を与えます。写真を通じて表現したいイメージに合ったスタジオに出会えれば、理想を超える素敵な写真に仕上がるでしょう。逆に、イメージと異なるスタジオでは、想像とは違った写真になってしまう可能性もあります。
撮影をする前に、求める条件に合ったハウススタジオを見つけることが重要です。
今回は、ハウススタジオを選ぶ際に、チェックすべきポイントについてお伝えしていきます。
豊富な家具・小道具
ハウススタジオはコンセプトが決まっているため、そのコンセプトに合った豊富な家具や小道具が用意されている場合が多々あります。
世界観に合った家具や小道具が用意されているので、撮影の度に改めて用意する必要がありません。
なかなか手に入りづらい小道具が用意されていることもあり、準備の手間を省けるだけでなく、自分が想像していた以上に、世界観をしっかりと作り込めるのも魅力です。
スタジオによっては、スタジオに置いてあるもの以外に、倉庫でたくさんの家具や小道具を保管していることがあります。
多様な種類の家具や小道具を利用できる点も、ハウススタジオのメリットです。
撮影コストの削減
ハウススタジオを利用すると、撮影コストの削減が可能となります。
たとえば、和室で撮影を行いたいと考えた場合。ハウススタジオを利用せずに撮影を行うためには、スタジオの中にセットを建て込んで撮影することになります。
セットの建て込みには、時間とお金のコストがかかってしまいます。ハウススタジオを利用することで、時間とお金のコストを削減することが可能です。
特定の世界観を表現するために、ハウススタジオを利用すると、改めてセットを組む必要がないため、時間やお金といったコストを削減することが可能となります。
また、ハウススタジオには、家具や小道具が豊富にそろっているとご紹介しました。家具や小道具を準備しようとした場合には、探す時間と購入するお金が必要です。ハウススタジオの家具や小道具を利用することで、こちらに関してもコストを削減することができます。
ハウススタジオのいろいろなコンセプト
キッチン
キッチンスタジオも非常に需要の高いシチュエーションのひとつです。アイランドキッチンやL型キッチンなどのキッチンタイプの違いや、そのキッチンで実際に調理ができるかなども、スタジオにより様々です。メニュー写真のような商用撮影から、最近では料理系YouTuberにも人気です。
公園・庭園・ガーデン
庭園やガーデンでの撮影は、屋内撮影ではできないさまざまワンシーンを撮ることができます。陽の光と大空、緑の草木や色とりどりの花々など、ロケーションごとに異なるシーン撮影ができます。また、庭園も、和風と洋風とでは、世界観がまったく異なる世界観を演出できます。
廃墟
ゾンビや幽霊を連想させるシーンとして、なくてはならないシチュエーションのひとつです。廃墟風に内装を施したスタジオから、本物の廃墟を活用したスタジオまであります。廃墟撮影はコスプレ撮影としても人気のジャンルです。
ステージ・ライブハウス・劇場
ステージ設備のあるスタジオは、アイドルコスチュームにぴったりのロケーションです。このタイプのスタジオは、普段はライブスペースとして、貸出しているようなライブハウスや劇場を撮影用途としても利用できるタイプが多いです。
サイバー・SF・近未来
無機質な金属の部屋に電子機器がずらりと揃った、ロボットアニメやSF映画を思わせる近未来の非日常感。ハリウッド映画などでは、CGを駆使して撮影されていることが多いですが、リアルな装飾はまた違った魅力があります。ブースをたくさん備えた大型シェアスタジオには、1ブースは用意されています。
学校・教室・保健室
学校や教室がコンセプトのハウススタジオは、需要が非常に高く、人気の高いシチュエーションのひとつです。大型スタジオやシェアスタジオでは、学校ブースが1ブースは用意されていることも多いです。また、廃校をつかったコスプレイヤー向けの撮影イベントが催されたりすることもあります。
病院・診察室・手術室・病床
医療現場を舞台としたドラマや映画は多数あります。それ以外でも、病院のシーンは、比較的登場シーンの多いシチュエーションです。診察室や手術室•病床などは、撮影スタジオにセットを組むには大掛かりになってしまいますので、病院を模したハウススタジオは大変貴重なものになります。
牢獄・刑務所
牢獄や牢屋は、コスプレ撮影でも人気の高いシチュエーションです。人気の秘訣は、牢獄の汎用性の高さにあります。薄暗い無機質な空間と鉄格子の組み合わせは、牢屋のシーンに限らず、あらゆるシチュエーションとマッチします。ブースが複数用意されているようなシェアスタジオなどにあることが多いです。
ハウススタジオを選ぶ際のチェックポイント
ハウススタジオを選ぶ際には、いくつかのチェックポイントが存在します。ポイントをしっかりと押さえることで、スタジオ選びでの失敗は少なくなるでしょう。
ハウススタジオを選ぶ際のポイントには、ホリゾントスタジオを選ぶときにも共通する基本的なポイントが存在します。そちらに関しては、以下の記事で紹介しています。ご確認ください。
ハウススタジオを選ぶ際、特に気を配るべきポイントは次の5つです。
- コンセプト
- アングル
- 屋外スペース
- 自然光
- 機材レンタル・持ち込み
それぞれについて確認していきましょう。
コンセプト
まずは、コンセプト選びです。ハウススタジオは、様々なコンセプトのものが存在しています。
和風、洋風、アメリカン、ヨーロピアン、アジアン、レトロ、リゾート…
などなど、多種多様のコンセプトが準備されています。このコンセプトをきちんと決めることが、ハウススタジオ選びでは大変重要です。
コンセプトを決めるといっても、撮影スタジオを探す際には、どんな写真を撮影したいのかというイメージが、すでに出来上がっているかと思います。ですので、特に難しいことはなく、写真のイメージに沿ったスタジオのコンセプトを選べばOKです。
スタジオのコンセプトは、検索サイトやホームページの写真から確認することができます。
撮りたい写真にぴったりの、ハウススタジオのコンセプトを選びましょう。
アングル
イメージに合うコンセプトのスタジオが見つかったら、そのスタジオで撮影が可能なアングルについて確認していきましょう。
スタジオの間取りや家具の配置などで、撮影可能なアングルはある程度決まってきます。イメージしているアングルで撮影ができるのか、事前に確かめておきましょう。
アングルは、スタジオの写真を参考にしたり、間取り図を見ることで、おおよそ想像できるでしょう。よりしっかりと確認したい場合には、ロケハンを行うことをおすすめします。
アングル次第で、使用するレンズなどの撮影機材も異なってくるかと思います。
当日では対処しきれないケースもありますので、事前にしっかりとチェックをしておきましょう。
屋外スペース
屋外スペースについても、チェックが必要です。
窓から見える景色が、撮影にそぐわない場合もあります。屋外スペースがどのような作りになっていて、中からはどんな様子で見えるのか、把握しておきましょう。
スタジオのホームページに掲載されている写真でチェックする際には、撮影された季節に注意しましょう。芝生や木の様子は、季節によって大きく違ってきます。そういった自然の変化も考慮するようにしてください。
自然光
自然光の様子に関しても、きちんと把握しておきましょう。
自然光は、季節や時間帯の影響を大きく受けます。光の色や、窓から入ってくる角度などは、季節や時間帯で異なってきます。レンタルする時間帯が、イメージに合った自然光の状態であるのか、しっかりと確かめておきましょう。
ネット上の情報だけでは把握しきれない部分もありますので、スタジオスタッフに確認をしておくと安心です。
レンタル機材・持ち込み機材
ハウススタジオでは、白ホリスタジオと違って、照明機材が用意されていないことが多いです。
撮影によっては、照明が必要なこともあるかと思います。照明機材がレンタルできるのか、事前にチェックしておきましょう。
照明機材がない場合は、機材を持ち込む必要が生じます。
ですが、スタジオによっては、特に、最大電気容量の観点から、照明機材の制限が行われていることが多いです。また、持ち込みがOKな場合でも、スタジオの電気容量の関係で使用できないケースもあります。容量をオーバーしてしまうと、ブレーカーが落ちてしまったり、事故や火災の危険性を伴います。
ハウススタジオでは、一般的な住宅と同程度の最大電気容量であることが多く、電気をたくさん消費する特殊な照明機材などは、安全を確保するために使用ができないケースがあります。
ブレーカーが落ちたり、機材の故障、最悪の場合は火災が起こってしまう危険性もあります。きちんと確認した上で、機材を利用するようにしましょう。
利用規約
ハウススタジオは、白ホリスタジオに比べて、規約で制限されている撮影方法が多い傾向にあります。場合によっては、予定している撮影が禁止されていることもありますので、規約の内容には十分注意するようにしましょう。
ハウススタジオの中には、重要な建物として文化財に登録されているものもあります。規約を破り、貴重な建物に傷をつけてしまわないように気をつけましょう。
まとめ
ハウススタジオは、今回紹介したように、コンセプトやロケーションが様々で、活用することで写真の表現の幅を広げることができます。
注意点にも気を配りながら、ハウススタジオを利用してみてください。