もはや絶滅危惧種?タングステン照明について
前回の記事では、定常光の種類の一つである、HMI照明についてご紹介しました。
定常光は、写真撮影で利用される機会は少ないですが、動画撮影を中心に広く使用されています。
今回は、そんな定常光を作り出す機材の中から、タングステン照明についてご紹介します。
近頃、利用されることは減ってきているタングステン照明ですが、撮影に関わる人は知っておいて損のない知識です。確認していきましょう。
タングステン照明とは
タングステン照明とは、暖色系の光を放つ照明機材です。ハロゲンランプも、タングステン照明の一種です。
タングステン照明は、現在、撮影の現場などで利用される機会が少なくなってきています。
HMI照明が主流となる以前、撮影で頻繁に利用されていたのがタングステン照明でした。扱いも比較的簡単に行え、電球自体も家電量販店などで簡単に手に入れることができます。
タングステン照明の特徴
タングステン照明には、以下のような特徴があります。タングステン照明の利用機会が減ってきているのも、ご紹介する特徴によるところが大きいです。
- 熱を発する
- 価格が安価
- 寿命が短い
それぞれ確認していきましょう。
熱を発する
タングステン照明は、発光効率が低いため、利用に際して大きな熱を発生します。
発光効率は、lm/Wという、明るさの単位であるルーメンをワットで割った値で表現します。Wikipediaの情報によると、タングステン照明の一種である、ハロゲンランプの発光効率は20lm/Wとされています。
HMI照明である、メタルハライドランプが60〜130lm/W、LEDの一種が100〜200lm/Wとなっていることを鑑みると、タングステン照明の発光効率が低いことがわかっていただけるかと思います。
光とならなかったエネルギーは、熱として放出されるため、タングステン照明は、利用に際して大きな熱を発生します。
価格が安価
タングステン照明は、機材の価格が安価だという特徴があります。交換用の電球が家電量販店でも入手できたり、安定機や冷却器が不要であることが理由としてあげられます。
機材自体の販売価格が低いため、レンタルも手ごろな価格で行うことができます。
価格は安価ですが、蛍光灯やLEDと比べると寿命は短くなっています。
発光量が小さい
定常光ですので、ストロボなどの瞬間光の照明機材と比べると、発光量が小さいです。
また、明るさの調整を行うと、色温度が変化するという特徴があります。発光量を小さくすると、それに比例して色温度が低くなります。そのため、ホワイトバランスの調整が難しいです。
まとめ
タングステン照明は、近頃利用する機会は減ってきている照明機材です。熱を発することや、発光量が小さいために、より高性能であるHMI照明などに取って変わられることが増えています。
ですが、安価に使えるため、モデリングランプとして利用されることも多いです。
利用する機会もあるかもしれませんので、今回の特徴を頭に入れておくと良いでしょう。