10坪からはじめられるホリゾントスタジオ
撮影スタジオと一口に言っても、テレビCMなどの収録で使われるような100坪を超える大規模スタジオもあれば、中小企業や個人が利用するような数十坪程度の小規模スタジオまで様々です。
この記事では小さな撮影スタジオをはじめたい方向けに、10坪からでもはじめられるスタジオの設計例をご紹介していきます。
撮影スペースについて
撮影スペースはもちろん広いことに越したことはありませんが、ここではあくまでスペースが限られた場合について書いていきます。
まず、撮影スペースの横幅ですが最低で3mあればよいでしょう。フルサイズのバックペーパーが横幅2.72mであることを基準としてみています。
そして、奥行きについては、最低で6m程度は必要です。広角レンズを利用するのであればさらに短い距離でも撮ることはできますが、ポートレイトなどを中望遠レンズで撮ることを考えると、最低6m程度は確保しておきたいところです。
撮影スタジオとして貸し出すことを前提にするのであれば、中望遠レンズで被写体の全身を撮ることができるというのは、必要要件としては備わっているべきです。そうすると、最低でも6mほどの奥行きが必要になります。
ホリゾントのR部分は600〜900ミリ
ホリゾントのR部分は半径600〜900mmが一般的です。湾曲部分は立つことができないので、6mが奥行きのスペースの場合、実質の奥行きは5m強程度になるでしょう。
ただし、奥行きが8m未満のスペースしか確保できないのであれば、半径450mmほどでもさほど問題になることはありません。
撮影スペース以外に必要なスペース
10坪程度のテナントだと、間仕切りはなく1部屋になったタイプが多いと思います。間仕切りを内装工事で設置することもできますが、おおよそ5〜10センチほどは必要なので、その分だけ、有効スペースが狭くなってしまいます。
メイクスペース
メイクスペースは、化粧台と椅子さえあれば、とりあえずは問題ありません。
化粧台がない場合には、机に鏡を立てかけるだけでもよいでしょう。このときの机は、奥行きは短く、幅が長いタイプがメイク作業には向いています。椅子は最低2脚あれば大丈夫です。
フィッティングスペース
着替えなどが必要なアパレル撮影で利用頻度が高くなるのがフィッティングルームです。
一般的な広さは90センチ四方ですが、スペースが確保できない場合には、75センチ四方でギリギリの大きさです。仕切りはカーテンタイプや間仕切りを作って扉タイプのものなど様々ですが、カーテンタイプのほうがスペースを有効活用できます。
フィッティングスペースは、メイクスペースと兼用にしてしまうという方法があります。撮影スペースを少しでも広くとるために、メイクスペース自体にカーテンや間仕切りなどで仕切りを作り、メイクスペースで着替えをおこなうようにします。
機材収納スペース
ストロボ・三脚・バックペーパーなどの機材の収納スペースが必要です。
貸出を有料にするのであれば、原則収納スペースに保管しておき、貸出時のみ撮影スペースに移動させるのがよいでしょう。また、貸出料不要の機材を用意しているのであれば、撮影スペースの片隅においておくとスペースの節約にもなります。
スタッフスペース
掃除道具やホリゾントの塗装道具をはじめとしてメンテナンス用品をおいておいたり、小さな机を設置して簡単な事務仕事をできるようにしておくと、スタジオの予約事務などがおこないやすくなります。
10坪あれば撮影スタジオは運営できる
記事タイトルにもある通り、10坪あれば、小規模な撮影スタジオを運営することができます。
当然、顧客層は絞られてしまいますが、固定費であるテナント家賃を抑えることができます。固定費を下げることができると、売上が少なかったとしても商売として継続させていくことが容易になります。
さらに、小規模スタジオでも、工夫と努力を積み重ねさえすればしっかり稼げるようにもなるでしょう。